窒化ケイ素セラミックスの高温残存強度に及ぼすき裂治癒中の引張応力の影響

摘要

本研究では，治癒中のき裂開口による酸化促進が治癒能力に及ぼす影響について実験的に検討した．すなわち，治癒中のき裂開閉口がき裂治癒挙動に与える影響を検討するため，無負荷で不完全に治癒したき裂を基準とし，治癒中に一定引張応力，引張繰返し応力，一定圧縮応力を与え，治癒挙動を比較した．このように，不完全な治癒（初期き裂を基点に破壊する）を対象とする研究は少ない．また，治癒後（酸化後）のき裂は見えにくいことから，破壊じん性（不完全な治癒き裂に対して，き裂サイズの評価が必要）に対する治癒効果については不明な点が多い．破壊じん性に対する治癒効果についても検討し，残存強度に対する治癒効果と併せて，酸化によるき裂治癒促進について検討した．