モルタルバーの膨張量に及ぼすセメントのアルカリ量および試験方法の影響

摘要

セメントのアルカリ量が骨材のアルカリ反応性を評価する各種試験方法に及ぼす影響について検討した結果，以下のことが明らかになった．(1)本研究の範囲内では，化学法で「無害でない」と判定された骨材はJISモルタルバー法においても「無害でない」と判定された．(2) JIS迅速法における判定項目のうち，超音波伝ぱ速度率および相対動弾性係数ではセメントのアルカリ量の影響を受ける傾向が認められたが，長さ変化率では認められなかった．また，添加アルカリを含めると，各測定値はアルカリ量に大きく影響された．(3) JISモルタルバー法においてアルカリを添加しない場合，すなわちセメントのアルカリのみではJISモルタルバ一法で「無害でない」と判定されたいずれの骨材も，セメントのアルカリ量に関係なく有害な膨張を示さなかった．(4)デンマーク法においてはセメントのアルカリ量に関係なく，骨材ごとに判定結果が異なった．これは，骨材の岩種，おそらく反応性鉱物の種類や量が影響しているものと考えられ，わが国の骨材に適用できるのか検討が必要との指摘を裏付ける結果となった．(5)セメント増量法においてはセメントのアルカリ量の影響が顕著に現れ，アルカリの供給源がセメントのみであっても，骨材の種類に関係なく単位アルカリ量が5kg/m{sup}3を超えるとJISモルタルバー法で「無害でない」と判定される有害な膨張を示した．