「アジアにおける畜産統合システム」と「アジア及び太平洋地域における畜産：現状、傾向、問題点」の二論文について

摘要

21世紀の食糧問題および食糧生産開発の手段としての畜産開発を考えるときの基本的考えは“環境に負担を掛けない（優しい）低投入持続的農業（畜産）”である。 食糧問題と畜産開発で将来，大きな問題となるのは，人間の金程と家畜の飼料との競合の可能性の問題である。 先進諸国では豚のような単胃動物，家禽類のみならず牛のような反窮動物も穀類を餌として多量に給与する傾向になって来ている。 現在の穀物需給バランス，飼料と生産物価格の面からは経済合理性に合致している。 しかし，長期的にも可能かの疑問，多頭羽数の集団飼養からくる排泄物の過剰土壌還元による水質汚染，あるいは穀物供給地での化学肥料の継続投与による土壌劣化，流亡，農薬汚染等の環境問題が表面化したため，これを反省，さらに生産過剰解消をねらった政治的観点も加わり先の基本的考えとなった。 一方，途上国においても人口圧力，家畜の放牧圧力から自然草地，放牧地の劣化により砂漠化の進行が懸念されており，このキャッチフレーズはあてはまる。 いずれにしろ21世紀にむけて畜産開発，畜産の継続を意図する際の原点となるキーワードである。