台風が諫早湾小長井町地先の造成アサリ漁場に及ぼした影響

摘要

諫早湾北岸の造成アサリ漁場は，2005年、 2006年の 各9月に長崎県に上陸した台風による底質攪乱を被つ た。本研究は，2あるレ、は3力所（各05年-06年）の 漁場での2週間内のアサリ個体群と底質の，および 1漁場での3年間のアサリ個体群の変化を記録した。 05年台風直後に個体数密度が有意に減少したのは，小 型稚貝（殻長2.0 -4.9 mm ;2漁場）と大型稚貝（5.0 -14.9 mm ；1漁場）であり，06年台風直後では，小 型稚貝（3漁場)，および大型稚貝と小型成貝（15.0 -24.9 mm)(1漁場）であった。両年とも大型成貝 (25.0 mm以上）は影響を受けなかった。両年間と漁 場間での密度減少様式の違いは，卓越波浪に対する漁 場の向きによって生じたと考えられた。長期的には， アサリの全密度は06年台風直後に1/3に減少し，その 後も低水準で推移した。底質のうち硫化物含量、強熱 減量は短期的には減少傾向を示した。