生体機能性物質の評価におけるPETの役割

摘要

急激に高齢化社会を迎えている我が国のような先進 国において，寿命が尽きるまで健康で過ごすことの出 来る社会環境の整備は急務である.中でも老化と共に 増加する認知症、 ガン'心臓疾患等の様々な疾患の発 症率を予防医学的に抑制することは，発症後に治療に要する年間30兆円にものぼる医療費を抑制するための 最も効果的な方法のひとつである.国内で150万人と 推定されているアルツハイマー病（AD)や脳梗塞に 伴う痴呆症状は，本人の苦痛のみならず家族や社会を まきこむ介護の問題とも関連して，その治療法のみな らず予防法の開発が切望されている.また，脳血管性 認知症は，動脈硬化、 高血圧といったいわゆる「生活 習慣病」のコントロールによって，ある程度予防でき る可能性があると考えられている.さらに，我国の死 亡原因の第2位の位置を占め，第3位の死亡原因であ る心臓疾患とも深く関わっており，しかも入院を要す る疾患の第1位である脳梗塞の予防法を見出し，さら に有効な治療法を確立していく事は，単に医学上の観 点からのみならず社会経済的な面からも極めて重要で ある.予防医学の担い手として，特に生活習慣病に起 因する様々な疾病を防ぐためには，適度な運動と共に 毎日の食生活が果たす役割は非常に重要であり，様々 な機能性成分を含む食品やサブリメントを効率的に摂 取することで，病気に掛かり難い体質に改善できると 期待される.