食品製造業の生産性と収益性改善のための提案 —システム視点から見た食品製造業—

摘要

日本の食品製造業の生産性が製造業平均の約60%の水準で推移していることはすでに多くの方 が指摘されている事実である。しかし生産性が低 いということは、さらに企業の各種利益率と従業 員の給与水準が低水準になることの原因である。まず付加価値生産性の理論についてみると、付 加価値は企業利益と給与部分に分解されるから、 付加価値生産性の低水準は低利益率または低給与水準、またはその両方を意味する。この点をデータで確認する。食品製造業は飲料 を含むか否かや規模格差など分類上の問題があ り、断片的なデ一タが多いが、ここでは『法人企 業統計年報』でみる（表1)。売上高総利益率は 原材料価格や為替相場の変動のためかなり激しい 変動を示している。ところ力ミ'、売上高営業利益率は平成11年の3.7%から傾向的に低下して、同 20年には1.9%になっている。経営改革による生 産性と収益性の改善が喫緊の課題になっているこ とが分かる。