毒液栽培の過去、現在、未来 ～イノベーションによる飛躍的な生産性向上を～

摘要

日本における実用的な養液栽培は、昭和21（1946）年に米軍が駐留兵士への清浄野菜の供給を目的に、滋賀県大津（10ha）と東京の調布（22ha）で礫（れき）耕栽培を行ったのが最初である。 その後1960年前後に農林省園芸試験場興津支場において、山崎、堀氏が礫耕栽培を実用化し、補助金（農業構造改善事業）を受けて農家に導入された時代を第1の波、また1970年前後に各地の試験場、大学、企業で開発された湛液式を中心とした水耕栽培システムの普及した時代を第2の波と板木氏は呼称した。 さらに、1980年代半ばにおけるNFT（Nutrient Film Technique）方式の導入と、ヨーロッパから導入されたロックウール栽培による設置面積の増加期の時期が第3の波と呼ばれた。 NFTは、薄膜水耕法という名前があるが、世界的には開発当初からNFTと呼ばれたため、日本起源の水耕栽培技術である湛液流動水耕は、いつしかDFT（Deep Flow Technique）と称せられるようになった。