C1微生物代謝経路の省エネ型炭素固定系としての利用とその問題点

摘要

光合成によるCO_2固定反応に代表されるように，一般に炭素固定はエネルギーを必要とする反応である.資 源循環型、低炭素社会の構築のためには，炭素循環の律 速段階である「炭素固定」反応を高効率で活用するため の技術開発が必要であり，温室効果ガス排出削減技術や バイオマス増産、利用技術においては，化学，工学，生物学に基づく多様なアプローチからの技術開発が進めら れている.人類が直接利用できる炭素資源には，石油-石炭を中心とする化石資源，光合成によってCO_2から得られるバイォマス，そして埋蔵量の豊富な天然ガスが あるが，これらの炭素資源を有効利用し，かつ，少ない エネルギー投入量で炭素資源として固定するための一つの有効な手段として，筆者らは，C02排出を最小限に抑え，エネルギー効率の高い生物生産系として，C1微生物とその代謝経路を利用する「省エネ型生物的炭素固定」 を提唱している（図1).