表面張力リソグラフィ法による3種類の細胞外マトリックスを用いた細胞共培養

摘要

生体内の細胞は,主に3つの細胞微小環境（液性因子, 細胞-細胞間の相互作用,細胞-細胞外マトリックス間 の相互作用）により調節を受けている.従来の細胞培養 法では,これらのうち,液性因子は培養培地中に添加す ることによって,細胞-細胞^^マトリックス間の相互作 用については培養皿表面に細胞外マトリックスを塗布す ることによって,その役割や作用機序などが評価されて きた.一方,近年,フォトリソグラフィなどの半導体微 細加工技術を用いることで,異なる種類の細胞をマイク ロスケールで空間配置することが可能となり,細胞-細 胞間相互作用を解析する技術が提案されている.すなわ ち,上記3つの細胞微小環境を評価する技術は存在する わけであるが,これまでは個々の作用はそれぞれ個別に 評価されてきた.しかし,より生体に類似した環境下で 解析を行うためには,これら3つを同時に制御する技術 が必要である.ここでネックとなっていたのは,細胞パ ターンの作製に従来はポリエチレングリコールのような 合成ポリマーが利用されていたことであつた.本研究で は,数種類の細胞外マトリックスの物理化学的な性質に 着目して,合成試薬などを使用せず,細胞微小環境を制 御する技術を開発した.