海外における生物工学教育 -JABEE生物工学および生物工学関連分野の視点から-

摘要

高校生の理科離れが話題になつて久しいが，それでも 生物学や生命科学に興味を持つ高校生は多いとも聞いて いる.しかし，その多くはテレビや新聞紙上で話題とな る再生医療や遺伝子治療など医学，医療に関係する生命 科学であり，本学会の会員が指向する生物工学，すなわち「生命現象の工学的な展開と応用」という観点からの 興味ではないように感じられる.ある学問が，どのよう な領域や現象を扱うかは，当該の学問あるいは周辺領域 の発展にも影響されるであろうし，時代が要求すること や，その分野を先導する科学者，技術者の考えや興味などによっても変わっていくであろう.したがって，「ある 学問分野はこのようなことを扱う分野である」とのリ ジッドな考えを持つことは，かえってその学問の発展や 広がりを阻害するようにも思われる.しかし一方では， 学問として正統な発展を遂げるために，恒常的な「体系ィ匕」の努力が求められることも事実であろう.本稿では， 今後，生物工学分野の教育をどのように体系化していけ ばよいかについてrjABEE生物工学および生物工学関連 分野」と「海外における生物工学関連分野の教育力リキュ ラム」という2つの観点から考えてみたい.