森林総合研究所モデル木造住宅における環境振動の伝搬性状

摘要

森林総合研究所の構内に建築されたモデル木造住宅に対して、住宅外部の振動源からの振動伝搬 特性を明らかにするため、住宅外部に振動源となる加振機を設置して加振実験を実施し、住宅内部 に伝搬する振動の振動加速度レベル分布を求めた。また、モデル木造住宅近傍での木杭打設工事に 伴って発生した地盤振動についても敷地境界および住宅内部での振動計測を行なつた。住宅内部の振動加速度レベル分布は、1階、2階とも床面の支持構造による影響を受け、2階では、 階下の壁線に沿って振動加速度レベルが減少する傾向がみられた。また、1階の床は、鋼製束によ つて2階の床面よりも短い間隔で支持されているため、比較的高い振動数（40Hz以上）で局所的 に大きな振動加速度レベルが観察された。基礎近傍と住宅内部の振動加速度レベル差については、 2階床の水平方向の振動加速度レベルが地盤のそれより大きく、振動増幅が認められた。振動増幅 量が最大となった振動数帯域（6.3Hzから8Hz)は、常時微動測定により求めた住宅の卓越振動数と も合致することから、振動増幅が共振現象によって生じたものと推察された。