極早生水稲品種「とさびか」の異常（不時）出穂の発生とその後の生育，収量および玄米品質

摘要

極早生水稲品種とさびかの異常（不時）出穂の発生に伴う楓玄米品質の変動要因を明らかにするため，播種からの有効積算温度（基準温度10℃）を基に養成したとさびか，キクアケの幼齢化苗と幼穂未分化苗を圃場に移植し，両苗区間で生育，収量および玄米品質を比較した．その結果，両品種でほぼ同様の結果が得られ，幼穂分化苗区では，移植から30～32日目に主梓出穂が確認され，その19～20日後に分げつの出穂が開始した．これに対し，幼穂未分化苗区では，移植から57～58日目に主梓が出穂し，分げつ出穂開始は，その2日後であった．分げつの出穂期間は，幼穂未分化苗区が13日であったのに対し，幼穂分化苗区は30～32日と長かった．幼穂分化苗区の最終主悍葉数は7．6～8．0で，幼穂未分化苗区に比べ4葉程度少ないが，分げつ発生数および棟数は幼穂分化苗区の方が多かった．幼穂分化百区の収量は，幼穂未分化苗区に比べ9～15％少なかった．これはm~2当たり穂数は多いが，分げつ穂の発育が劣り，1穂綿が少なく，m~2当たり牌が減少したことと，発育停止籾割合が高く，登熟歩合が低くなったためでぁった．さらに，幼穂分化苗区では青米が多いため，玄米の外観品質評価も低くなることが判明した．