小学校理科，社会科および生活科の学習指導要領における土の取り扱い方の変遷と 小学校理科における土の学習内容の提案

摘要

日本土壌肥料学会では，1982-1983年度にかけて土壌 教育強化委員会を組織し，土壌教育の内容，取り扱いに ついて検討と討議を行った.その結果，「初中等教育におい て土壌に関する教育を強化するには，土壌を人類生存の 基盤とする見地に立った教育をする必要がある.」と結論 し，対策や課題を明示した（木内，1984).委員会が実施 した小学校や中学校への土に関するアンケート調査の中 で，「土」が"国民食糧生産上大切なもの"として認識して いた中学生が19.4%であったことは，特筆に値する.そ の後，実施された平井ら（1989)の「土」に関するアン ケ―ト調査結果によれば，小学校6年生で土への関心が低 下し，その傾向は中学'高校になると加速することが明ら かにされた.中でも「土」が「食べ物」に必要であると認 識していた小3,小6の児童がそれぞれ45%， 34%,中学 生が24%という極めて低い値を示しており，土壌教育強 ィ匕委員会のアンケ一ト結果を裏付けた.加えて，「地下水が 枯,れると困る」や「水をきれいにする」といった「環境」 と密接に「土」が関係し，重要な役割を果たしているとい う認識も小3.中学生まで15%未満と極めて低かった.