豚ぶんコンポスト施用土壌におけるアーバスキュラー菌根菌の接種および木炭の施用がトウモロコシの亜鉛と銅の吸収に及ぼす影響 －MIDIシステムを用いた土壌中の菌根菌プロパギエールの測定－

摘要

環境問題への関心が高まり，有機性廃棄物のコンポスト化および農作物の生産増進や地力維持を目的とした農耕地土壌への還元が環境負荷低減策の一つとして近年広く認知されるようになった．しかし，それらのコンポストには重金属をはじめとした様々な元素が含まれており，長期連用に伴う各種元素の土壌蓄積が懸念されている．一方，動物にとって必須元素でもある亜鉛（Zn）や銅（Cu）などは家畜飼料添加物として飼料中の栄養成分や有効成分の補給を担っている．そのため，家畜ふんコンポストを長期間畑土壌に連用すると，家畜の飼料添加物に由来する重金属元素などが蓄積し，土壌汚染の一要因となり得る．とりわけ，豚の排泄物を原料とした豚ぶんコンポストではZnやCuなどの重金属元素の土壌蓄積やZnの作物移行性を高めることが著者らによって確認されている．