我が国における食中毒対策の取り組み～食中毒被害情報管理室の行政上の役割～

摘要

我が国は，憲法第25条（生存権の保障）ですべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことを保障している．この規定を受けて各種の関係法令が制定されており，公衆衛生行政のうち国民の生活の根幹である食の安全確保にかかる法律には，「食品安全基本法」，「食品衛生法」，「と畜場法」，「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」等がある．食品衛生法の目的は，「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し，公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」である．「衛生上の危害」として，まず考えられるのは，いわゆる食中毒であり，食中毒対策は厚生労働省における食品衛年行政において取り組むべき重要な課題である．