私の歩んだ日本獣医師会の24年と今後の期待（Ⅵ）

摘要

平成14年は小柴昌俊，田中耕一両氏のノーベル受賞により，日本の自然科学水準の高さを世界に示すとともに民族の誇りをとりもどした年でもあったが，2001年9月10日BSE発生により国民が恐怖に陥り，特に英国のBSE牛の後躯不安定な姿が連日放映され，加えるに熊本の青果業者がミニトマト（韓国産のもの）を熊本産と偽り，雪印食品による牛肉偽装詐欺事件が発生する等食．に対する不信感，不安感を強めた．行政も食農一環政策を重視し，「農場から食卓へ」の顔が見え，国民に安心感を与えるため「トレーサビリテイ（生産歴追跡システム）」を導入することになり，「食品安全基本法（仮称）」の制定を急ぐことになった．今年の。獣重要事項として五十嵐会長は年頭の挨拶に，①組織財政委員会（林　 良博委員長）の答申を尊重し勇気ある組織活動推進，日獣の組織率91％（日本医師会61％，日本歯科医師会70％，日本薬剤師会40％）は先輩の努力による貴重な財産として確守する責任があること，②獣医師生涯研修事業も3年経過，さらに獣医師全体のボトムアップをはかりたいこと，⑨狂犬病予防に閲し厚生労働省の「狂犬病対応ガイドライン2001」，「狂犬病予防法に基づく犬の登録等の徹底について」を通知し，加えて2002年9月厚労省と農林水産省が協力し，「わが国に不法に持ち込まれる犬の対策等に係る取扱要領」の通達があり，すでに北海道と富山県において外国船からの大の不法侵入防止，警戒を強化している時でもあり接種率の向上，登録等と積極的に協力したい，④生物兵器としてのテロ対策としてジュネーブの第5回生物兵器禁止条約（BWC）締約会議において条約強化計画を採択した時でもあり，米国の炭痕テロ事件に鑑み関係識能を高めること，⑤動物愛議運動の推進強化策として動物愛護推進員の委嘱制度が京都府，兵庫県，福岡県で設置されたように地域における組織作りに協力すること，（む学校飼育動物に関する対応殊に家畜保健衛生所職員の活動，⑦身体障害者補助大法（2002年5月公布）の理解促進，BSE発生以来正しい知識普及や牛肉消費安全性に関するシンポジウムの開催，⑨獣医学教育の再編問題，福祉共済対策等を年頭に述べた．