ネットヮーク研究を軸に日本の LTER の方向性を考える

摘要

日本の LTER はいま胎動期にある．1997年に日本で開催された ILTER （International LTER）アクア太平洋地域集会以来，日米 LTER 学生交換プログラムや日本生態学会での LTER 小委員会の設置，自由集会の開催などを通してLTER 研究体制の認知度が高まってきた（本特集の田中 - 堀論文参照）．一方で，演習林など大学附属の野外研究施 Oでは一連の行政改革に伴う改組 - 再編が行われ，同時に演習林の一般への開放 - 基 A研究への努力などが厳しく求められている．こうした動きの中で一部の大学演習林がLTER サイト作りに取り組む意志を表明するようになったのは，ある意味で必然とも言える．筆者も現在そうした大学演習林のなかで LTER 体制づくりを実践すべき立場にいるが，果たして日本の LTER は大学演習林や試験場を基盤として組織することが可能なのか，また，そもそも日本型 LTER 研究というものは U.S. LTER を模倣するだけ（それ自体たいへんなことではあるが）で成立しうるものなのかと色々考えることがあった．