FIMRIを用いた温熱的快適性に関わる脳活動の評価

摘要

【研究背景と目的】温度に関係した感覚には、狭義の温度感覚（thermal temperature sensation)と温熱的快-不快感(thermal comfort/discomfort)の2つに分類されている。前者は温度刺激に対して、熱レヽ/冷たいと表 現される客観的感覚であり、温熱的快、不快感は暑い/寒いと表現されるような主観的感覚であるとされて いる。これらは従来、古典的な心理学的手法で評価されることが多かったが、近年、機能的核磁気共鳴画像 法(fimctional Magnetic Resonance Imaging; fMRl)や陽電子放射断層jfe影法(Positron Emission Tomography; PET)が用いられている。先行研究では温度感覚と温熱的、快不快感の脳の責任領域が異なることが報告さ れ、これら2つの温度感覚は独立していることが示唆される。しかし、一般に温度刺激はこれらの感覚を同 時に変化させうるものであり、これらの報告には疑問が多く残る。本研究では、ヒトが暑熱あるいは寒冷環 境におかれた場合に、同じ局所温度刺激が温熱感覚には影響を与えないまま?显熱的快'不快感に大きな違い を誘発させるという現象（Mower etal. 1976)に着目し、温熱的快適性に関わる脳内機序を解明することを 目的とした。