夏季における高齢者の生活活動と水分出納の関係

摘要

高齢者は体内総水分量や口渴感の低下などの影響により脱水状態に陥り易く，日常生活における脱 水予防が重要となる.これまで筆者らが行つた実態調査によると，夏季の要介護高齢者の一日の水分出納は 量的バランスが保たれており，活動量に伴う発汗ゃ不感蒸泄ょりも排尿、排便による損失量の方が多い傾向 が示された.要介護高齢者は非活動的な一般高齢者と比べて活動量の減少や睡眠時間の延長がみられたが， 両者間における日中活動時および夜間睡眠時における排尿'排便による損失量の時間あたりの値は変わらな かった.これより，一般的な加齢の特徴による腎機能低下は,要介護高齢者および非活動的な一般高齢者共に 同程度であり，両者間における水分出納の傾向は，生活活動の影響と推察された.