黒毛和種牛における分娩後の発情誘起が子宮修復と胚回収およびその後の受胎成績に及ぼす影響

摘要

黒毛和種牛において、分娩後の胚回収を含む1年1産のプログラムを確立するために、ホルモンによる発情誘起処置の有効性を検討した。 試験群（5頭）には、分娩後20日目からプロジュステロン放出膣内挿入剤とプロスタグランジンF_(2alpha)を用いて発情を誘起し、その後過剰排卵処置による胚回収を行い、胚回収後の発情時に人工授精を行った。 一方、対照群は分娩後29日日以降に明瞭な自然発情を示した牛（5頭）について同様に胚回収および人工授精を行った。試験群では分娩後31日目に3回目の排卵が観察され、対照群に比べ平均10日間早かった。 分娩後31日目の子宮角直径は、試験群の方が対照群に比べ有意に減少した（P＜0．05）。 胚回収成績および分娩後の空胎日数には両群間に差は認められなかった。 以上のことから、発情誘起処置により、計画的な分娩後の胚回収と人工授精による速やかな受胎が可能であることが示唆された。