農業教育における環境保全型農業技術の役割に関する研究: （第3報）ジャガイモ栽培における汚泥コンポストの施肥効果

摘要

有機廃棄物の下水汚泥や食品製造汚泥を原料として製造されたコンポストの有効な農業利用法を明らかにすることは，有機栽培における土壌還元用の有機物不足の解消と地球環境保全のための汚泥処分問題の解決に役立つものと考える。 また，そのことは，コンポストを農業教育における教材として取り扱う場合にも重安となる。本報告は，汚泥コンポストに含有される窒素成分の施用当年における肥料効果が，施肥方法を異にした圃場実験を通して，ジャガイモ栽培でどのように発現するかを検討したものである。 施用した汚泥コンポスト由来の窒素成分が収量や生育に与える効果は，一部が速効的に，大部分が緩効的に現われることが明らかになった。 そのために，ジャガイモに対すろ汚泥コンポストのみの施用で効果を上げるためには，極めて多量の施用が要求される。 したがって，実際的な利用法としては，汚泥コンポストと化学肥料の混合施用が最適である。 また，この汚泥コンポストが塊茎の分化と肥大を促進する働きを持つことが示唆された。