世界の穀物需給とアジアの食料安保

摘要

今後の世界の食料需給については、大きく分けると楽観的見通しと悲観的見通しの二つがある。 楽観論者は、アメリカ、オーストラリアなど穀物輸出国の経済学者に多いようである。 世界銀行のような国際機関にも楽観的な見方をする人が多いようだ。 彼らは、せ界の農産物市場の需給調整機能をたいへん重視する傾向がある。 なんらかの一時的原因によって世界の穀物市場が逼迫すると、市場は価格を上げることで反応するので、翌年は生産国で作付けが増大し、供給が増える。 こうして需給調整がおこなわれるから、市場の需給調整機能がはたらく限り、短期的変動はあるにしても長期的な食料の逼迫は起きないという考え方である。 楽観論者が盛祝するもう一つの質素は、虚業の技術進歩の進展である。 とくにこれからは、遺伝子組換えやクローン技術などのバイオテクノロジーを駆使すれば、食料供給を十分実現することができると見通している。