マツノマダラカミキリの産卵痕を経由したァカマツ枯死木への マツノザィセンチユウの侵入

摘要

マツノザィセンチユウは，マツノマダラカミキリ雌成虫が産卵するために作った傷（産卵痕）を経由して枯死木へ侵入する ことが示唆されているが，野外でそれを確認した例はなかった。そこで我々は，マツ材線虫病以外の要因で枯死したァカマツ を対象木とし，マツノザィセンチユウがマツノマダラ力ミキリの産卵痕を通じてマツ枯死木へ侵入するかどうかを明らかにす るための調査を行った。枯死木にはマツノマダラカミキリが多数産卵し，その幼虫が作った穿入孔ゃ蛹室が多数形成されてい た。マツ材線虫病診断キットを用いて産卵痕直下の材片，産卵痕も幼虫の食痕もない無傷の材片，そして蛹室壁の材片におけ るマツノザィセンチユウの存在を確認したところ，どの材片からもマツノザィセンチユウの陽性反応が確認された。本調査に より，野外においてマツノザィセンチユウはマツノマダラ力ミキリの産卵痕を経由してマツ枯死木に侵入することが初めて証 明された。