抗酸化機能性サブリメン卜の給与が ホルスタィン種初産牛の繁殖成績に及ぼす影響

摘要

近年の乳牛の繁殖性低下に対し、泌乳能力を発 揮させつつ繁殖性改善を図るため、抗酸化機能性 物質の給与が繁殖成績に及ぼす影響を検討した。7県の研究機関において延べ52頭のホルスタィ ン種初産牛を供試して分娩前6週から分娩後16週まで飼養試験を実施した。基礎飼料にはチモ シ一乾草、ヘイキューブ、指定配合飼料および要求量のビタミン類を添加した混合飼料（TMR: TDN72%、 CP16%)を用い、対照区12頭には基 礎飼料のみを給与した。ァスタキサンチン (ASX)添加区14頭には基礎飼料に加え分娩前4 週から分娩後12週までASXを高濃度に含むファ フィァ酵母を用いたサプリメントをASXとして 日量400 mgになるように給与した。セレン (Se)添加区12頭には基礎飼料に加えSeを 300ppm含有するSe酵母サブリメントを分娩前 4週から分娩日まで日量10 g、分娩からは分娩後 60日まで日量20gを給与した。また、ビタミン 添加区14頭には基礎飼料に加え分娩からビタミ ンEを日量1,000 IU、タカ口テンを日量250 mg 給与した。その結果、血漿中のASXおよびSe濃 度はそれぞれの給与区において袷与期間中高値を 示した力、ビタミン類の濃度は給与の影響を受け なかった。繁殖成績では、初回排卵5日後の乳中 プロジヱステロン濃度はASX添加区が他の区よ り高く、発情回帰日数はすべての添加区が対照区 と比較して短く、受胎まで日数はASX添加区で 他の区と比較して短かったが、いずれも有意な差 ではなかった。以上のことから、400mgのASX 給与により、血漿中濃度が維持され、その後の繁 殖性を改善できる可能性が示された。