有珠山および昭和新山の窒素固定植物とその土壌環境について

摘要

1977－78年に爆発した有珠山（海抜高740.1m）は一月植生が壊滅したが，その後の植生回復は活発である。 1945年に生成した昭和新山も植被に覆われている。 両山は降水量，気温ともに適度の温帯領域に入るため植物の種数が多く，窒素固定植物もマメ科植物を中心に約20種が確認され，それぞれ大小の面積の優占群落を形成し旺盛な生育を示しでいる。 世界的にみると，窒素固定化について調査した北米のSt．Helens山のマメ科草本Lupinus，ハワイのKiiauea山のやマモモ科木本Myrica faya、日本では富士山のカバフキ科木本ミヤマハンノキが知られでいるが，実際の火山での根粒をもつ植物の生態的な研究例は少ない。 これまで数種について結果の一部を報告してきたが，今回はさらに穫数を増やして火山噴火後の植生回復他における窒素固定植物と根粒菌の付き方，生育地の土壌環境についての実態を明らかにする。