ヒノキ林における間伐が土壌ガスフラックスと窒素動態に及ぼす影響

摘要

森林土壌における温暖化ガスである亜酸化窒素とメタンのブラックスには，様々な環境要因が影響を及ぼすが，その一つとして生態系の窒素循環様式の影響があげられる。 窒素循環様式が及ぼす影響としては，土壌中の硝化速度が高い場合，硝化に伴って発生する亜酸化窒素の放出が増加することや，メタンの吸収速度が変化することが予想される。一般に森林生態系は窒素保持機能が高く渓流水からの窒素流亡が少ない。 ところが，森林を伐採すると，生態系の窒素循環が変化し，土壌の硝化速度の増加や生態系外への窒素の流亡が増大することがこれまでに様々な森林で明らかにされている。 伐採に伴って土壌の窒素無機化速度が増加すると温暖化ガスである亜酸化窒素やメタンブラックスにも影響を及ぼす可能性がある。 本研究は，高知県東津野村のヒノキ人工林において，間伐が生態系の窒素動態に及ぼす影響を，葉の養分分析，土壌の窒素無機化速度，温暖化ガスブラックスの変化から明らかにすることを目的とする。