培養液中へのCa添加時期の違いがトールフェスク（Festuca arundinacea Schreb．）およびリードカナリーグラス（Phalaris arundinacea L．）幼植物の塩害軽減程度に及ぼす影響

摘要

植物培養液中へカルシウム（Ca）を添加することによって，塩添加時の塩害が軽減されることが報告されている（Cramerら1985；Cramerら1989；Lahaya and Epstein 1969）。 海野ら（2002）は塩ストレス下における植物体内でのCaイオンの動きを調査し，植物のCaイオン保持能と耐塩性との関連を示唆した。 また，Maedaら（2003）は，塩化カルシウム（CaCl_2）添加による塩害軽減機構を根部細胞壁Caの挙動から検討し，NaCl処理時の根郡細胞壁中のペクチン酸結合態Ca残存率との密接な関連を示唆した。 これらの報告は，NaClとCaCl_2を同時に培地に／添加して塩害軽減のためのCaCl_2添加効果を示しているが，実際に塩害が生じている圃場では高濃度の塩が土壌中に既に存荏している。従って，塩集積土壌で植物を栽培する場合，Caの施用は植物栽培前か栽培過程で行なうこととなる。 しかし，予めCa添加培地で栽培した植物を土壌に移植する，播種または移植と同時にCaを土壌に施用する，または栽培過程でCaを施用するなど，植物栽培培地へのCa添加時期の遠いが作物の塩害程度に及ばす影響についての報告はない。