犬猫の慢性腎疾患に対する臨床的アプローチ

摘要

犬猫の慢性腎疾患（CRD）や慢性腎不全（CRF）の正確な発生率や羅患率は不明であるが，犬で死亡原因を調べた研究では全頭数の5％が原発性腎不全により死亡し，別な研究では全米の飼い犬のうち少なく見積もっても0.5％の犬が1年間にCRFに擢患すると推定している。 猫では，イリノイ大学で5年間に来院した5098頭を調べたところ，CRDの発生率は2.45％であった。 猫のCRFで年齢別発生率を調べたところ，10歳以下が37％，10歳から15歳が31％，15歳以上が32％であった。 一方，犬では4歳以下が18％，4歳から7歳までが17％，7歳から10歳までが20％，10歳以上が45％であった。 しかし，こうした研究は窒素血症の存在に基づいてCRDやCRFを診断している。 したがって，研究結果は腎機能がCRFにより正常の25％以下に低下した限定された母集団を対象にしたものであることを念頭に置いておくべきである。