ゲル紡糸によるポリビニルアルコール／セリシン系ブレンド繊維の作製，及び構造と物性

摘要

絹セリシンの有効利用とポリビニルアルコール（PVA）繊維に新しい機能性を付与するという二つの目的を同時に満たすために，セリシンとPVAのブレンド及びこれによる繊維化を試みた。 得られた繊維にホルマール化を行い，この試料の構造と物性の検討から次の結果を得た。 1．紡糸をゲル紡糸法で行った結果，通常使用されている分子量のPVAのみでは均一な繊維は得られないが，セリシンをブレンドした場合，均一な繊維を作製することが可能であることを見い出した。 2．延伸、熱処理後，ホルマール化を行った試料の溶解は600C付近から始まり，沸騰水中で最大65％までの重量損失にもなる。 又，由700C付近で試料は収緒を起こし，沸騰水申で最大収縮率は約30％である。 試料の収縮の原因は，結晶融解によりランダムコイル化すると．きめェントロピー弾性が発生し，大きな収鹿を示すと考えうれる。3．破断強度と破断伸度の延伸倍率依存性の検討から，破断強度は最大延伸倍率の3倍の試料は通常のどこロン繊維の約1／2，破断伸度は約2倍の値を示すことが分かった。 又，同じ試料のヤング率は，通常のビニロン繊維のそれに匹敵することも分かった。