異なる有機質肥料と床土原土との混和時期が水稲苗の生育に及ぼす影響

摘要

水稲有機栽培においては，有機苗の使用が必須である.しかし，水稲育苗における有機 質資材の使用に関してはいくづかの問題が報告されており，水稲有機育苗技術は未だ確立 されているとは言い難い現状である.本研究では，有機質資材と床土原土との最適な混和 時期を検討するため，プール条件下で水稲育苗試験を行い，水稲有機育苗法の確立に資す ることを目的とした. 試験は2011年に宇都宫大学農学部附属農場（以下，.附属農場）内ガラス温室にて行 つた.品種はコシヒカリを用い，種子予措並びに播種作業は附属農場慣行法に従った.第 1表に試験区の構成を示した.菜種油粕と魚粕をそれぞれ窒素成分で1:1で配合したも の（箱当たり窒素成分量2g )と，附属農場内森林下の表層土 （山土 ）を播種日より4 週間前，2週間前，1週間前および播種当日に混和しプール条件下で育苗を行った.育苗期 間は2011年4月21日から5月21日の30日間とした.苗の草丈，葉齢，第1葉 葉鞘高，葉色値，地上部乾物重，生育むら，出芽むらおよび立枯症状を各試験区3反復で 調査し，適切な混和時期について検討した.