嗅覚刺激を用いた環境エンリッチメントが飼育下のヒョウ（Panthera pardus)の行動に与える影響

摘要

近年では、動物園などの飼育環境におかれた動物に対して動物本来の行動を発現させることを目的とした環境エンリッチメント（以下、エンリッチメントとする）がなされている（松沢1996）。 その具体的方策の一つとして、飼育環境内への新奇な感覚刺激の導入があげられ（Renner＆Rosenzweig 1986他）、小型ネコ科の一種であるクロアシヤマネコ（Fellis nigripes)に対しては、いくつかの嗅覚刺激のうちキャットニップハープ（Nepeta cataria）がエンリッチメントとして最も効果が高かったということが報告されている（Wens＆Ehli2004）。 本研究では、ネコ科の中でも特に警戒心が強いヒョウに対するエンリッチメントとして飼育環境に嗅覚刺激となるキャットニップハーブを導入し、それが個体の行動にどのような影響を及ぼすのか、またエンリッチメントとして効果があるのかを検証することを自的とした。