量的予報の精度向上（第3年度）--地方ガイダンスの開発---平成10年度全国予報技術検討会報告－

摘要

第2年度に引き続き，本庁ガイダンスの精度が不十分な現象について，実用に耐え得るものを1つでも完成させることを目標に，地方ガイダンスの開発を進めた．対象として選んだ現象は，冬型気圧配置時の天気，下層雲に支配される天気，気温，夏期の不安定降水などである．冬型気圧配置時の天気に関する地方ガイダンスとしては，FRRの3時間降水量に基づいて天気を判別するもの，ニューラルネットワークを利用するもの，下層風向等で層別化した天気出現率を用いるもの，重回帰式を用いるもの，の4方式が提案された．下層雲に支配される天気に関しては，判別式やしきい値を決めRSMのGPVに基づいて天気判別を行う方法や，MOS的手法が試みられたほか，目先の期間に対して気象衛星による雲量格子点データの利用も検討された．気温に関する地方ガイダンスの作成には，PPM，MOS，カルマンフィルターといった統計的手法が揮用された．夏期の不安定降水に関する地方ガイダンスの作成手法ほ，統計的手法と気候倍的予測とにまとめられ，細部において各地の特性が考慮された，これらのほか，目先の1コマ（3時間）とそれに続く2コマ目との不達競を解消するものとして，パターンマッチング法を用いた降水に関する地方ガイダンスが提案された3か年にわたる検討の成果である．これらの地方ガイダンスは，所期の目標どおり本運用または試験運用が可能な段階にまで到達できたものが多いが，中には本庁ガイダンスを上回る精度を獲得できず改良の余地を残すものもあった．