土の様々な見方

摘要

土は見方が変わるとそれに応じて違った姿を現します。 地面に深さ1m程度の穴を掘り、現れた垂直断面の層位の特徴と層位の配列状況を肉眼で調べるのが土の見方の基本とされていますが、これはドクチャーエフ以来の伝統的土壌観に相応したものです。この土壌観は次のように要約できます。 “気候、植生、地形などの影響の下で、母材（非固結岩石）から次第に土壌が生成する。この生成の基本的過程は、乾燥地では上向きの、湿潤地では下向きの水の動きに伴う物質の移動であって、その結果は深さ1－2m程度以内に層位として現れる。 従って、層位を調べれば、土壌生成の方向と程度が判るので、それに基づいて土壌を分類できる”。 しかし、土の科学、科学技術、社会のあり方などの変貌に応じて、土の見方も変化する管です。この事情を私自身の体験に基づいて述べてみます。