大規模水田作経営における農地の 条件不利（零細、不整形）性、分散性への対応—JA出資型農業生産法人を事例として一

摘要

近年，水田農業においては高齢ィ匕等により大量の農 業者が急速にリタイアする中で，賃貸借を通じた規模 拡大が着実に進展しており，このような動きは今後も 継続すると見込まれる.しカゝし，規模拡大が必ずしも 経営採算の好転につながるとはいえず，規模拡大自体 が経営採算にとってはマイナスになる場合もありうる.これまで水田作における規模拡大に関する研究は数 多く存在しており，ごく最近の代表的な研究でも藤野(2015);とくに法人経営に関する研究としては福原 (2012),上田（2015)などがあり，圃場数の増加と分散性,周年就業の確保などの問題が検討されてきた. しかし，取り上げられた事例の大半は水田面積が最大でもはOha止まりであり，経営体としては利益追求を基本とする一般農業法人や家族経営が大半を占めている.