流木および廃木材由来木炭フィルターのNO吸着機構

摘要

前報（Seki and Okumura，2007）では，自動車などの移動源から排出されるNOの，土壌と植物による処理の実施例が公開されている（Fujita corpリ2002）ことに鑑み，ごみ焼却施設などの固定渡から排出されるNOの資源としての回収、再利用を目的とした，安価で効果的な処理方法として，土壌への吸着を実験的、理論的に検討した。その結果，吸着速度がLDFモデル（Suzuki，1990）で整理できることを示した。しかし，土壌だけでは吸着容量が小さすぎるため，吸着力のある有用材料の添加の必要性が指摘された。そこで本稿では，有用材料の候補として，ダムへの流木や廃木材由来の木炭のNO吸着特性を取上げる。その理由の一つは，木炭が多孔質媒体で吸着に好都合と考えられること，もう一つは，木炭などの植物由来廃棄物の再資源化とその有効利用法の開発は，生態系保全の具体的方法として重要と考えられることである。この二つ目の理由は，生態系の循環サイクル促進のためには廃棄物そのものが“生産者（おもに植物）”の栄養源としてサイクルに組み込まれることが望ましいとの視点に基づくものである。