プロセスモデルを使用した日本における潜在的な自然植生分布の推定

摘要

IPCC（気候変動に関する政府間パネル）の2001年の報告（IPCC，2001）によると，産業革命以降（1750年頃以降），大気中の温室効果ガスの濃度の増加により，1990年と比較して2100年までに地球全体の平均地表温度が14～5．8°C上昇し，それに伴って，海面が約0．09～0．88m上昇す－ると予測されている。 地球規模での予測の信頼性は依然として低く，気候変動の程度も不確かであるが，一部の地域における極端な高温現象，洪水，早魅の頻度の増加，その結果としての火災，疫病の発生，さらに，生態系の構成，構造，一次生産力などの機能に大きな変動を与える可能性が指摘されている。その中でも植生は，光合成を通じて地球上の炭素循環に多大な影響を与えている。 温暖化と大気中の二酸化炭素濃度の増加ほ，植生の生態に影響を与え，また，逆に植生も大気中の二酸化炭素濃度の増減に影響を与える（Woodward et al.，1995）。