窒素施肥量を大幅に削減する茶の点滴施肥法

摘要

茶は，窒素肥料を多用すればするほど品質が向上すると信じられているため，他の作物に比べて窒素肥料を多用する傾向にある。 特に，抹茶の材料であるてん（磯）茶の場合は高品質が求められるため，せん茶に比べて窒素施肥量が多い傾向にある。 愛知県の施肥基準においても，せん茶が10a当たり窒素成分量で60kgであるのに対して，てん茶は70kgと多くなっている。 しかし，施肥した窒素の大部分は，利用されずに系外に流亡している。 また，単位面積当たりの亜酸化窒素として揮散する畳も他作物に比べて多い。 しかも，てん茶の摘採回数は，多くの場合5月～6月上旬に1回行うのみで，地上部の窒素吸収量は10a当たり25～30kgあるものの，持ち出し量は10kg前後である。 まず，環境保全及び施肥の効率化の観点からも，流亡と揮散の割合を抑制する必要がある。 流亡と揮散を抑制するには，とにかく窒素施肥量を減らすことである。 少ない窒素肥料の施用で収量、品質を低下させない技術確立が強く求められている。