新たなビッグペイン病抵抗性レタスの開発をめざして

摘要

レタスビッグペイン（lettucebig－vein）病は，葉脈付近の緑色が薄くなり，その結果葉脈（vein）が太く（big）見えることから名付けられた（第1図）。本病は，絶対寄生菌の一種Olpidium brassicaeによって媒介される土壌伝染性のウイルス病であり，世界の主要なレタス産地で問題となっている病気である。日本国内においても，冬作レタスの産地で発生しており，被害が拡大している状況にある。 レタスビッグペイン病の防除方法として，これまでに物理的防除，化学的防除，生物的防除など様々な防除法が報告されている。これらの防除法の概要については，石川氏らの総説を参考にしてほしい。 防除法の中で生産者が最も望むものとして，抵抗性品種の利用が挙げられるが，私たちの研究室はその要望に応えるために，ビッグペイン病抵抗性品種の開発に取り組んでいる。 そこで本稿では，抵抗性品種の開発について詳しく紹介していきたい。 最初に育種を進める上で大変重要な抵抗性検定について述べ，次に通常の交雑育種，近縁種を利用した育種について紹介し，最後に新たな展開として，遺伝子組換え技術を利用した抵抗性レタスの開発について紹介する。