SNPsによるイネ品種鑑別法

摘要

イネゲノム全塩基配列（プエーズ2レベル）の解読が完了し，シーケンスデータをいかに有効に活用するかが問われる時代となっている。 多様なイネ品種間のSNPs（single nucleotide polymorphisms，一塩基多型）の探索はポストゲノムシーケンス時代の最重要課題の一つであり，有用遺伝子の同定や機能解明，DNAマーかー育種の高速化への貢献が期待されている。 このような背景のもと，植物ゲノムセンター(Plant Genome Center，PGC)では平成13年からイネSNPの網羅的探索を行っている。 その中で，わずかに得られる日本稲近縁品種間のSNPを利用することにより，現在日本で栽培されている主要な品種の米を相互識別する系を確立した。 本稿では，研究を開始した背景と進展状況，および開発した品種鑑別システムと現在提供しているDNA鑑定サービスについて解説する。