無農薬栽培に向けた総合防除

摘要

環境問題を配慮しながら一定の生産をあげ，高品質で安全な食料を生産することが,　 21世紀の農業生産では必須のことである。 化学肥料と農薬の使用による農業生産技術を大きく転換し,有機農法や無農薬栽培での生産技術の確立が急がれている。 農業生産における病害虫防除技術として，現在まで行われている方法は表1のとおりである。 総合防除は，これらの各種防除法をうまく組み合わせて目標とする病害虫を防除することであるが,とくに無農薬栽培体系では，薬剤施用法を除いた総合防除技術の確立が必要となる。 すでに農家レベルでの無農薬栽培が全国各地で実際に行われており，それぞれ成果を上げているもののそれらの地域性，土壌条件，耕種方法など異なる条件のもとに農家個人独自の手法（例えば農薬代替資材利用など）で無農薬栽培を行っている状況であり，一般技術として普及するための普遍的な技術体系として確立されているとは言えない。