三重県における 八タケシメジ栽培の取り組み

摘要

ノヽタケシメジ(Lyophyllum decastes)はキ シメジ科シメジ属のきのこで，春と秋，林内や畑 地，道端等に生える。しゃきしゃきした歯ごたえ で味に癖がなく，煮込んでも煮くずれをおこさな いことから，和，洋，中どんな料理にも利用でき る。また，他の栽培きのこに比べて日持ちが良ぐ 気中菌糸が生じにくいことから市場での評価も高 い。さらに，動物実験や臨床試験等により血圧降 下作用ゃ抗腫瘍効果等が明らかにされており，ハ タケシメジの熱水抽出物や乾燥粉末を利用した健 康食品も開発されている。三重県では，平成5年よりハタケシメジビン栽 培の開発に取り組み，平成10年に全国に先駆けて ハタケシメジの商業生産を開始した。生産開始当 初は高価格で販売されてきたが，形状の似たブナ シメジの価格低迷により，ハタケシメジの高価格 の維持も困難になってきた。そこで，ハタケシメ ジの菌床埋め込みによる栽培法を開発し，きのこ の大型化による商品の差別化を図るとともに，平 成15年よりセンタ一方式による菌床供給体制を整 備し，生産拡大を図ってきた。最近では，菌床の 上面から形状の良い子実体を安定的に発生させる 技術を確立し，生産量も伸びつつある。