二つの農業革命一現代農業は、レゝま、どこにあるのか ―グ口一バル視点の比較農紧環境もの试み

摘要

クロスピー『生態学的帝国主義』(邦訳は『ョ— ロッパ帝国主義の謎』)という本をご存知だろうか。近世西欧の植民地主義の問題を政治的支配の側面だけでなく、それが世界全体の植物相.動物相や疫病などの生態学的側面に対していかに大きな影響を及ぼしたのかを論じた環境史の著作として、つとに有名な書物である。興味深いのは、この本の冒頭が、現在の食料問題に開する言及からはじめられていることである。クロスピーは、ョ— 口ツバ人の移民とその子孫が、他の人びととは異なつて世界中に居住していることを指摘したうえで、彼らの住むネオ.ョー口ツバ-いわゆる「新開囯」をクロスピーはこう呼んでいる-のもう一つの見過ごせない重大な特徴として、「これらの地方は食料の余剰を生産するという点で」他の地域の人びとから羡望の眼差しを受けている、「大量の食料を数十年間にわたつて恒常的に輸出している国は地球にきわめて少ないが、ネオ.ョー口ツバに属する諸国がその大半を占める」と述べているのである。具体的にあげられているのは、アメリカ、カナダ、ォーストラリア、ニュージ—ランドの旧イギリス植民地に属する諸国であり、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルなどの南米諸国である。本誌の読者ならばすぐに気づかれるよ、つに、これらはアメリカを除き、いずれもケアンズ諸国の主要メンバ1である。