ブラジルは世界最大の穀物輸出国になれるのか7

摘要

北半球より半年ほど遅れて、南米ブラジル大豆の収穫作業が最盛期を迎え、3月半ばで約半分の収穫完了と報じられている。米国農務省はブラジルの大豆生産高を8350万トンと前年実績からお.6%の増産を見込み、輸出余力を過去最高の3840万トンと予測している。需給統計では数年前に一度だけ、ブラジルがアメリカをほんのわずか追い越した年があつたが、前年度はアメリカに7%強の減産が発生したが第2位に甘んじていた。隣国アルゼンチンとの合算で見ると、生産高ではW年前に南米産がアメリカを追い越し、輸出市場でも数年前から南米産がアメリカを上回る状況が定着した。所が、この両国の需給構造には大きな違いがあり、ブラジルは国内市場(畜産業)優先、アルゼンチンは輸出市場(搾油産業)優先で発達してきた。アジア諸国での鳥インフルェンザがブラジルにブロイラー産業の急速な発展を促すなか、急増する中国の大豆需要の担い手として内陸部(セラ—ド)の開墾が進められた。ァルゼンチンはもともとパンパの放牧農業が中心で、もっぱら欧州やアジア諸国向け大豆粕の輸出を前提にした搾油業界の成長と、それぞれに特色のある要因が大豆の増産をもたらした。しかし、ァメリ力が2年連続して期待外れの作柄で終わったので、今年度は大幅な生産回復が見込まれる南米諸国、中でもブラジルの輸出余力に期待が寄せられている。米国農務省は、アメリカからは3661万トンが精一杯の輸出余力になるので、年間6300万トンにも達する中国の旺盛な輸入必要量を満たすには、南米諸国からの供給に依存する部分が増大し、原料大豆の輸出割合の高いブラジルが世界第1位の輸出国になるとの予測を示している(表1参照)。