再生可能エネルギ—事業のための新たな仕組みについて

摘要

再生可能エネルギyi の利点を最大限に活かすには、適正コストでの長期間運用が必要となる。そのためには設備設置や技術開発の費用にどう対処するかが重要だ。特別目的会社方式による資金調達と市民ファンドからの資金調達を例にとリ、農家などが再生エネルギI事業に参画するための形態を考える。東日本大震災での原発事故をへて、国民には、安全で環境破壊のおそれがないエネルギーをより多く利用して社会を維持していくべきというコンセンサスがほぼ得られているといってよいだろう。しかし、現実には、発電設備を設置できるのは余裕のある一部の企業や家庭に限られており、一般国民が再生可能エネルギー事業に参画することは困難である。そこで、本稿は、地方の市町村のふつうの企業と住民が参画して高い効率を持つ再生可能ェネルギー事業を超長期的に運営していくための手法を提言したい。これを成功させるには、地域の企業、銀行、保険会社、不動産所有者、個人投資家、設置工事業者、不動産管理業者など多くの組織と住民が参画することが不可欠である。その共同参加によりその地域の環境保全と経済価値の創出という二つの恩恵を参加者みずからが得ることができるようになるのである。