大規模畑作地帯へのキャベツ機械収穫作業体系化の導入とその評価

摘要

キャベツは前後作に特定の作物を忌避したり，選好することが少ない．また，栽培期間が比較的短いために小麦の前作にも後作にもなりうることから土地利用の自由度を高める働きを持ち，小麦一秋キャベツや夏キャベツー秋野菜などの年2作により土地利用率をあげることもできる．さらに野菜としては残虐有機物も多く，養分収支上の利点もある．そして，ここ北海道十勝における畑作経営ではアブラナ科作物は少ないため，土壌病虫害発生の可能性も高くない．また，労働力の面でもその農繁期は収穫最盛期の7～9月にあり，労働配分の季節的な平準化に有効と考えられる．このようにキャベツの導入は土地利用上の利点が多く，野菜を取り入れた畑作付方式の確立にとって有用な作物と考えられる．一方で，キャベツ生産の省力化を考えた場合，最も作業時間が長く，栽培面積を規制しているとまで言われる収穫，搬出作業の機械化，効率化が求められて久しい．収穫作業者は重量野菜を把持しながらの作業のため，腰痛など作業姿勢の不備から生ずると考えられる訴えがある．そこで，省力的な機械化作業体系が進まないことにはキャベツ作の導入が進まない状況にある．したがって，普通畑作物と比較して作付可能面積が小さい今後30ha以上層がモード階層となっていく中で4～5年輪作体系を確立していくことを前提とすれば，収穫労働を中心に抜本的な省力化が図られる必要がある．