大規模畑作経営における野菜作の展開とキャベツ機械収穫システムの経営評価

摘要

北海道の畑作地帯では1960年代以降の40年間に，農家戸数が3分の1にまで減少するという農業構造のドラスティックな変革の中で，農地の売買による規模拡大が進み，「構造問題をテイクオフした農業」と評されている。 この中で，トラクタやその作業機の大型化など，作業機械化の進展はめざましいものであり，てん菜，ばれいしょ，小麦，豆類を中心に大規模機械化畑作経営が展開してきた。 80年代後半に入り畑作物価格が低下するようになり，農業所得を確保する手段として野菜類の導入が図られるようになってきた。このことと対応して，建設機械を用いた長芋の収穫作業方式にみられるように，大規模経営向けの技術展開も図られてきた。しかし，農家労働力の高齢化が着実に進んでいるにもかかわらず依然として人力作業が多く，中国等からの輸入急増の中で，野菜産地の形成が停滞してきている。 そこで，北海道農業研究センターでは，収穫作業の機械化が停滞しているキャベツを対象に，農業機械等緊急開発事業で開発された新型キャベツ収穫機（以下HC10と称する）を用いたトレーラ伴走式機械収穫システムを開発した。 本稿では，この収穫システムの特徴と経営評価について紹介するとともに，大規模畑作経営における収穫機械化をさらに進めるための課題について述べる。