スイカ果実汚斑細菌病の育苗における発生生態と種子消毒法

摘要

わが国においてスイカは，北海道から沖縄まで全国で栽培されており，イチゴ，メロンと並ぶ重要な果実的野菜である．このような中，1998年に山形県でスイカ果実汚斑細菌病の国内での初発生を確認した17）．その後，1999年に鳥取県と長野県13），2001年に鳥取県，長野県，徳島県で発生している．本病は，1989～1995年にアメリカで大発生して甚大な被害をもたらした．本病原細菌，Acidovorax avenae subsp. citrulli(以下Aac）は主に種子伝染すると共に，スイカ以外のウリ科植物に病原性を持つことが明らかとなっている．ゎが国で本病の発生が拡大した場合，スイカのみならずキュウリ等の他のウリ科野菜に被害が拡大する危険性がある．そのため，植物防疫法施行規則において「輸入相手国に対して栽培地検査を要求する有害動植物」に指定して国内への侵入を警戒していた．本病のわが国での発生を確認した今，国内での定着と拡散の防止，根絶，海外からの再侵入の防止などの対策が急務である．