被災地における営農再編の方向と高生産土地利用型営農モデル

摘要

2011年3月に発生した東日本大震災は,東北地方 を中心に甚大な被害をもたらした.また，津波によ り引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所 による放射能汚染は，まだ終息する状況にはなく ， 福島県など多くの地域に様々な問題を生じさせて いる.現在，被災地の復旧，復興に向けた取り組みが進 められつつあるが，そのためには，将来の営農像， 地域農業像を描き，そこに向けた手順を具体的に検 討していく必要がある.特に，土地利用型農業につ いては，まずは営農ができるという状況への復旧を 図りながら，その後の展開として圃場基盤の整備や 農地の地域的な利用調整を進め，新技術を導入した 生産性の高い営農方式を構築していくことが求め られている.そこで，本稿では，被災地の土地利用 型農業の再生に向けた技術支援のあり方や効果に ついて，営農モデルの策定とそのシミュレーション を通して考察する.