浄水場から排出する水処理廃棄物の再資源化〔6〕 一植物に対するリン酸過剰害とその軽減資材としての 浄水ケーキの利用可能性一

摘要

浄水場まで運ばれた河川水などの水道原水には，浄水場でPACや硫酸アルミニウムなどの凝集沈降 剤が加えられ，河川水中に浮遊していたシルトゃ粘 土などの微細な鉱物ゃ菌、藻体などの有機物が除か れる.そのものを天日乾燥あるいは機械脱水したも のが浄水発生土あるいは浄水処理ケーキ（以降，浄 水ケーキと記す）と呼ばれるものである.その主成 分はシルトゃ粘土などの鉱物であるが，それ以外に 河川水中の菌、藻体などの浮遊有機物や浄水場で添 加された凝集剤由来の微量のアルミニウムなどが 含まれる.現在,浄水ケーキは水事業体から排出する産業廃棄物として位置づけられ，緑農地用の培養 土やグラウンド改良土およびセメント原料として 一部利用されている以外は，埋め立て等の投棄処分 されてきた1'2).しカゝし，浄水ケーキは河川上流か ら運ばれてきた微細なシルトゃ粘土を主成分とし ており，貴重な土壌資源とみなすこともできる.ま た，その排出量は今後の水需要の増大に伴って益々 増加するものとみなされる.そこで，本報では緑農 地用培土原料として欠点となる浄水ケーキの高い リン酸固定能に注目し，わが国の農耕地に過剰蓄積 している可給態リン酸の軽減資材としての可能性を検討した.