農家の都市農村交流への意識に関する計量的研究: 大阪府豊能郡能勢町の農家アンケートに基づいて

摘要

日本の多くの中山間地域では，農業が重要な産業 となっているが，規模拡大による効率的な農業の展 開が困難な傾向にあり，高齢化，過疎化，鳥獣害問 題，耕作放棄地の増加等多くの問題を抱えている. 本稿では，中山間地域の事例として，大阪府豊能郡 能勢町（以下能勢町と省略）を取り上げ，能勢町で の都市農村交流問題を中心に考察を行う.能勢町は， 大阪府の北端に位置し，都市近郊ではあるが，中山 間地帯であり，農業は，主要な産業である.しかし， 都市近郊という性質上，兼業農家が多く，農業も高 齢化が進行している状況である.都市と農村の交流 を積極的に行つたり，地域ブランドをアピールした りして，農業による地域振興を行うことが課題と なっている.また，今後の農業の高齢化が深刻にな り，耕作放棄地の増加が憂慮されることから，農業公社のような農地利用集積円滑化団体を設立し，効 率的な土地利用を目指して，農作業の受委託、農地 の売買を行うことが検討されているさらに，能 勢町には，第三セクタ一である道の駅（能勢町観光 物産センター）が存在し，経営が好調であることか ら，今後の更なる農業振興への貢献が期待される.